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プレスリリースを解説!「壊れることで強くなるゲルを開発」(グン・チェンピン教授)


グン・チェンピン教授
グン・チェンピン教授

龔 剣萍(グン・チェンピン)教授(先端生命科学研究院)の研究グループは、壊れても自ら修復し、さらには強くなるハイドロゲルを開発しました。

 

ハイドロゲルとは、長い分子の鎖(高分子)が網目のような構造を作り、大量の水を吸収した物質です。実は私たちの周りでもあちこちに存在します。例えば、ソフトコンタクトレンズ、お菓子のグミ、軟骨もハイドロゲルです。

ハイドロゲルは壊れると元に戻りません。割れたゼリーを集めても元通りにならないのと同じことです。これまでも自己修復するハイドロゲルが研究されて来ましたが、修復するスピードが遅すぎて実用的ではありませんでした。



ハイドロゲルの一種であるゼリーは壊すと元に戻らない
ハイドロゲルの一種であるゼリーは壊すと元に戻らない

今回、グン教授たちはハイドロゲル内に壊れやすい結合を入れました。この結合は力をかけると簡単に壊れますが、たくさん壊れるため、新たな高分子の網目をすばやく作ることができます。その結果、自己修復のスピードはこれまでの100倍になり、さらには強度も上がる結果となりました。


ハイドロゲルを上下方向に引っ張ると、高分子の化学結合(青線)が切れるが、すぐに新しい網目構造(赤線)が作られる
ハイドロゲルを上下方向に引っ張ると、高分子の化学結合(青線)が切れるが、すぐに新しい網目構造(赤線)が作られる

ハイドロゲルを上下に引っ張る実験。一般のハイドロゲル(左)は亀裂が入ると切れてしまうが、自己修復するハイドロゲル(右)だと亀裂の周りで新しく強い結合が作られるため亀裂は大きくならない。
ハイドロゲルを上下に引っ張る実験。一般のハイドロゲル(左)は亀裂が入ると切れてしまうが、自己修復するハイドロゲル(右)だと亀裂の周りで新しく強い結合が作られるため亀裂は大きくならない。

この方法は、他の高分子材料にも応用できる可能性があります。柔らかさと強さが必要な状況、例えば機械の接合部や人間の関節などでの活用が期待されます。


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