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やわらかく強い材料研究で世界的な賞を受賞―アメリカ物理学会2023高分子物理学賞(龔剣萍教授)

更新日:2023年4月19日


龔 剣萍(グン チェンピン)教授(先端生命科学研究院、WPI-ICReDD(化学反応創成研究拠点))が、アメリカ物理学会(American Physical Society、APS)の高分子物理学賞(Polymer Physics Prize)を受賞しました!


2023年3月6日(日本時間3月7日)にアメリカ・ラスベガスで授賞式が行われ、APS会長から賞状が授与されました。APSの2023年3月大会では、受賞を記念した特別セッションも設けられ、グン教授を含めた5人の著名な研究者が記念講演を行いました。


高分子物理学賞には、世界中から毎年1人が選ばれます。賞には60年を超える歴史があり、過去にはノーベル賞受賞者も受賞しています。高分子物理学における最高賞の一つと言えます。アジアからの受賞は22年ぶり4回目です。


グン教授の受賞理由は、「新しい高分子ネットワークに基づくハイドロゲルの機械的特性と破壊特性の理解への顕著な貢献、および内部で過剰な応力がかかった犠牲結合に基づくダブルネットワークゲルの概念の発見に対する顕著な貢献に対して」です。


ゲルは水を大量に含むゼリー状物質であり、生体代替材料を始めとする幅広い応用が期待されています。しかし従来のゲルは力学的に極めて弱いため、その応用が極めて限られていました。グン教授らは、硬くて脆い網目と柔らかくて伸びる網目からなるダブルネットワーク構造が、ゲルに軟骨や工業用ゴムに匹敵する強度と靭性をもたらすことを発見しました。更に、この異常に高いゲルの強靭性は、ダブルネットワーク構造による犠牲結合効果によってもたらされることを解明しました。グン教授が提案した、犠牲結合原理による高分子材料の強靭化は、様々な強靭ゲルや工業用ゴムの設計に応用されています。




グン教授は、「著名な研究者が多く受賞しているので、私がもらうとは夢にも思いませんでした。20年続けてきた研究の重要性が評価されて、とてもうれしいです。一緒に研究してきた共同研究者と学生のみなさんに感謝します。」と受賞の喜びを語りました。


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