注目の研究を解説!「エリンギとかんぴょうでゲルを強化する」(中島祐准教授)
- 5月27日
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更新日:5月28日

ゲルは高分子の網目が水を多く含んだやわらかい物質です。ゼリーなど食べ物に多いほか、便利な材料としても使われますが、欠点はもろいことです。ゲルを強化したいと考えた中島 祐(なかじま たすく)准教授(先端生命科学研究院)が使ったのは、エリンギとかんぴょうだそうです。ちょっと変わった実験を行った中島准教授にインタビューしました。
―なぜ、この実験をしようと思ったのですか?
以前、ゲルを強化するためにイカを使ったことがあります。でもイカは重要な水産資源なので、食べずに使うのはもったいない。そこで農作物を利用しようと考えました。
―使う農作物は、どのように選んだのですか?
選ぶにあたり、次のような条件が必要だと考えました。①ある程度サイズが大きい、②均質である、③繊維の向きが揃っている、④いつでも供給ができる、などです。
きのこは育つ方向に繊維が揃います。中でもエリンギは、柄の部分が大きく繊維がしっかり揃っているので、使用に適していました。工場で作るため、供給が安定しやすいこともポイントです。
かんぴょうは、夕顔の実を細長くむいて乾燥させたものです。乾かすときに幅が縮んで繊維状になるようです。乾燥させれば季節によらず入手できます。

―実験はどのように行いましたか?
エリンギとかんぴょうにゲルの材料を浸み込ませ、内部で分子を重合させて高分子にしました。こうしてエリンギやかんぴょうとゲルの複合体が完成します。強度を調べると、それぞれの物質単体の強度を足し合わせたよりも、複合体の強度が高くなっていました。それほど強くない物質を組み合わせることで、とても丈夫な物質を作り出すことができたのです。


―この実験結果は、どのようなことに役立ちそうですか?
食感の改善に使えるのではと思っています。例えば、ゼリーの中にかんぴょうを入れて、ジャーキーの食感にするなど。また天然物で丈夫なゲルを作れれば、将来、アキレス腱の治療などに使えるかも知れません。
―身近な食品が最先端の研究に使われるのは意外でした。
この実験テーマは、研究室に配属されたばかりの学部3年生に課題として出したものです。身近なネタでも思いのほか興味深い結果になり、論文にできたことが印象的でした。





